釧新コラム ワッハ 歯!

〜健口100年時代〜 釧新コラム01
口腔機能低下症

「パパパパ・・」「タタタタ・・」「カカカカ・・」最近歯科医院に行って、こんな声聞いたことはありませんか?もしかしたら、実際行ったことがある人もいるかもしれませんね。これは、口腔機能低下症の検査の一つである、舌と唇の運動の検査です。
 さて、平均寿命と健康寿命という言葉、聞いたことがあるでしょうか。令和元年度厚生労働省の調査結果では、「平均寿命」男性81.41歳 女性87.45歳、「健康寿命」男性72.68歳 女性75.38歳となっています。健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されていますので、平均寿命と健康寿命の差は、何らかの制限をもって生活する期間となりますが、男性で8.73歳、女性で12.06年と結構長い期間になることが分かります。
 では、健康寿命の後はすぐに要介護の状態になるのでしょうか。現在の考え方では、健康と要介護状態の間に、フレイル期(虚弱期)というのがあって、これを経て要介護状態になると言われています。このフレイル期は、明らかな病気ではないけれども、「疲れやすい」「歩く速度が遅くなった」「食欲がなく痩せてきた」「外に出るのがおっくう」など、年のせいだからと言われてきたものが含まれます。ただ、このフレイルは適切な評価や手助けをすることによって、健康寿命を延ばすことが分かってきました。また、地域在住高齢者約2000人に対して行われた調査において、口腔機能が低下しているもの、低下していないものと比べて、身体的フレイル、要介護状態、死亡の新規発生率が2倍以上あったとの報告がありました。
 そのことを踏まえ、歯科では、口腔機能低下症の病名が平成30年の診療報酬改定でつけられました。対象年齢は65歳以上から現在、50歳以上と対象年齢が拡大しています。口腔機能低下症の検査は、①口腔衛生状態②口腔乾燥③咬合力④舌口唇運動機能⑤舌圧⑥咀嚼機能⑦嚥下機能の7項目です。検査自体は難しいことはなく、約1015分で終わります。(写真は舌圧を測定する舌圧計です)検査結果によって、3項目以上基準値以下の人は「口腔機能低下症」として、管理を行っていきます。具体的には、噛めない人は、その原因を探り、むし歯の治療、歯周病の治療、入れ歯の治療を行ったりもしますが、それと同時に検査結果に対応した指導が中心になります。
 人生100年時代と言われる時代になりました。口腔の健康を守り維持することによって、皆さんの健康寿命を延ばしていきましょう。

(釧路歯科医師会 理事 大澤 正幸)