釧新コラム ワッハ 歯!

〜健口100年時代〜 釧新コラム03
「釧路・根室圏域の健口支援に尽力する在宅歯科医療連携室について」

 
 釧路・根室圏域在宅歯科医療連携室(以下:連携室)のことをご存じでしょうか? 釧路歯科医師会は、2013年に釧路・根室圏域の皆様と歯科診療所をつなぐ窓口として連携室を開設しました。開設から10年を迎え、地域の皆さんの理解をいただきながら、相談などは徐々に増えています。ですが、まだまだお口のことでお困りの方々と歯科診療所を十分に繋いでいるとは言えない状況です。そこで、皆さんにもっと連携室を知っていただき、周囲にお口のことでお困りの方がいらっしゃいましたら紹介していただきたいと思っております。
 まずは連携室の事業案内をさせていただきます。疾病や高齢のため介助が必要であるなど、歯科医院への通院が困難な方(介護が必要で、歯科医院への通院が困難な高齢者の方)などを対象とした在宅歯科医療の問い合わせや、歯や歯ぐきの痛み、入れ歯がこわれた、合わないなど、歯やお口のことで困っている方の相談に対応しています。ご家族はもとより、介護サービスを担当している施設、事業所の方、医療機関の方々などから、お気軽にご相談いただいております。
 また、「口腔ケアは介護の基本」と言われております。口腔ケアは誤嚥性肺炎やインフルエンザを予防します。口腔ケアを広めるために介護施設職員を対象とした口腔ケア実地研修も行っております。
 今回は連携室の実情を知っていただきたいと思い、今回開設から10年間で1700件の相談を受けてきた、明田めぐみ連携室の相談員から印象に残っている事例を聞いてみました。
 ケース1)お薬の副作用で口腔内がひどい粘膜炎になり食事が摂れず口腔ケアもできなくなってしまった女性です。歯科訪問診療につないだことで、原因がわかり、歯科による専門的口腔衛生管理で徐々に状態がよくなりました。
 ケース2)認知症もあり家族の言うことも聞かず、義歯を3年間外していなかった男性です。食事量が減ったことでケアマネジャーから相談があり訪問しました。義歯を外すと3年間分の汚れで口腔内と義歯はかなり汚染されていました。また義歯が粘膜に食い込み大きな裂傷がありました。その痛みで食事量が減少していたと思われます。次の日家族の協力で歯科受診ができました。
 このように運用されている連携室は、地域住民の健康と予防に大きく貢献しています。お口のことでお困りの方は、釧路・根室圏域在宅歯科医療連携室(TEL:0154-41-7979)までお電話ください。よろしくお願いします。
 

(釧路歯科医師会 理事 窪田 正樹)