釧新コラム ワッハ 歯!

〜健口100年時代〜 釧新コラム04
「よく噛むって?」

 
 皆さんは幼少の頃から、「よく噛んで食べなさい」と言われ続けてきたと思います。では「よく噛む」とはどんな噛み方なのでしょう?
 大半の方々は「強く噛む」「ぐっと噛みしめる」といったイメージではないでしょうか?ほとんどの歯科医療従事者はそれを否定せず、むしろ推奨していた節さえあります。
 成人男性は自身の体重と同じくらいの噛む力を有するといわれます。
 しかしそのような大きな力が歯や歯ぐきに加わっているとしたら、口の中でどのようなことが起きてしまうのでしょうか?
 畑の大根を考えてみましょう。柔らかい土に埋まっていたならば、きっとその大根は土の中に押し込まれてしまいます。横に揺すればぐらつくでしょう。土が硬かったらおそらく大根は裂けたり、折れたりしてしまいます。
 歯も同様で強い力で噛み続けることで歯周病のリスクは4.9倍になることが昨今の研究で明らかになっています。また歯が欠けたり、歯の根が割れて抜歯せざるを得なくなってしまったりした方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?
 固いものがお好きという方も多くいらっしゃると思いますが、約10kgの力でもゆっくり回数をかけてあげれば充分咀嚼はできます。
 これを読んでいただいている皆さんはきっとご自身の歯を守りたいと思っておられるでしょう。それは我々歯科医療従事者も同様です。
 想定を超えた負荷がかかれば天然の歯でも人工のインプラントでも壊れてしまいます。さらに頭や首の骨・筋肉にも悪影響がでることが憂慮されます。
 強い力で噛み続けるのではなく、優しくゆっくりと食べることで、歯と口の健康を保ち、健康な体で人生を過ごそうではありませんか。

(釧路歯科医師会 監事 川村  聡)